更年期になると、エストロゲン(女性ホルモン)の減少に伴い、月経不順、不正出血、ホットフラッシュ、脂質代謝異常、骨量減少、皮膚の乾燥萎縮(お肌の衰え)等、さまざまな症状を引き起こし生活の質が低下します。
ホルモン療法の有用性が確認されていますが、副作用への不安からか、ホルモン療法を受けることに抵抗を示す方も多いです。
ホルモン療法に抵抗のある方は、大豆イソフラボンを用いたサプリメントを使用していることが多いです。海外の女性と比べ、日本女性は更年期障害が比較的軽症で、大豆を日常の食事で多く摂取しているからだと言われています。更年期障害のほか、骨粗しょう症、動脈硬化、乳がん予防等に大豆中のイソフラボンが有用であると研究成果が出ています。
しかし、大豆イソフラボンのサプリメントを飲んでいても、大豆を食事でたくさん摂るようにしても、つらい症状が改善しない方がいらっしゃいます。
それは、どうしてでしょうか?
大豆に含まれるイソフラボンには、ダイゼイン・ゲニステイン・グリシテイン等の種類が存在し、中でもダイゼインが腸内細菌に代謝され産生されるエクオールのエストロゲン活性が最も高いといわれています。
エクオールを産生する腸内細菌がどれだけ存在するかでイソフラボンの効き目に差が出てきます。
腸内で産生されたエクオールは吸収され体内循環を経て一部が腎臓に送られ尿中に排泄されます。
排泄された尿中のエクオールを測定することでエクオール産生菌がどれだけ腸内に存在するかを調べることができる簡単な検査がソイチェックです。
実際、更年期障害の重いグループは軽いグループと比べ尿中エクオール排泄量が有意に低いことがわかっています。
クリニックでお渡しした採尿キットを用い、自宅で尿を採取して検査会社様に送るだけの簡単検査です。2週間後に結果を聞きに受診してください。下図をご参照ください。
結果は、エクオールがどのくらい作られているのかがわかり、5段階レベルのどこに当てはまるのかがわかります。結果用紙の見本は下図をご参照ください。
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クリニックに受診された際に、詳細は医師が解説いたします。
エクオールの産生が不足している方や全く産生されていない方は、イソフラボンのサプリメントを摂取しても大変非効率で効果が期待できません。
大豆食品中やイソフラボンそのものにはエクオールは含まれません。あくまでも腸内細菌が産生するものだからです。
腸内細菌が作れないならエクオール含有サプリメントを直接摂取するのがよいでしょう。
エクオールを産生できる方は、日本人ではおよそ2人に1人の割合です。しかし、若年層では、非産生者が多いです。大豆摂取量そのものが少なくなっているのと、腸内細菌のバランスを整え、善玉菌の栄養素となる食物繊維の摂取量が少なくなっていることに関連しているのではないかと推測されています。
日ごろから大豆食品と食物繊維の摂取を心がけ、かつ、エクオール含有サプリメントエクエルをできれば更年期を迎える前から摂取するのがより効果的といえるでしょう。
エクオール、および、エクエルについてまとめたわかりやすい動画をご参照ください。
エクオール非産生者の更年期女性にエクオールを摂取してもらうことで、シワ面積率と最大シワ最大深さが有意に改善された報告があります。
エクオールには、男性ホルモンであるテストステロンをジヒドロテストステロン(テストステロンの活性500倍で男性型脱毛症の原因物質とされているもの)への変換酵素である5α-レダクターゼ阻害作用やジヒドロテストステロンと直接結合し男性ホルモン受容体との結合を阻害することが報告されているので、性別を問わずニキビや、男性には抜け毛にも効果が期待できるかもしれません。
まとめた下図をご参照ください。
ニキビ・ニキビ痕 | 眉毛 | ホクロ |
毛穴・テカリ | まつ毛 | いぼ |
シミ | 毛髪 | ムダ毛 |
シワ | 爪 | アトピー性皮膚炎 |