ボトックス(ボツリヌス毒素)注射
ボトックス(ボツリヌス毒素)は、元々、眼瞼けいれん(目の周りの筋肉がピクピクして止まらなくなる病気)の治療薬として開発されました。
運動神経終末から筋肉に出される信号を抑制し、一過性に筋肉の収縮を弱めます。
筋肉の収縮が弱まることで、筋肉の動きによってできるシワ(表情ジワ)をできなくします。
※知覚神経には作用しませんので、注射部位の感覚に変化は出ません。
※当クリニックでは、アラガン社製ボトックスを使用しています。
ボトックス注射が適したシワ
- ◎ 目尻のシワ (笑うとできる、カラスの足跡)
- ◎ 眉間の縦ジワ(眉をよせなくてもできているシワにはヒアルロン酸注射の方がよいです)
- ◎ 前額部のシワ(目を上に見開いたときにできる横ジワ)
ボトックス注射を受けたくても受けられない方
- × 神経筋疾患の方 (重症筋無力症、Lambert-Eaton症候群、筋萎縮性側索硬化症など)
- × 妊婦中・授乳中の方
- × ボツリヌス毒素や血漿製剤に対する過敏症のある方
- × 神経筋伝達に影響を及ぼす可能性のある薬剤を服用中の方
(筋弛緩剤、〈スペクチノマイシン、アミノグリコシド系、ポリペプチド系、テトラサイクリン系、リンコマイシン系〉抗生剤、
抗痙攣剤、抗コリン剤、精神安定剤、ペニシラミン、キニジン、カルシウム拮抗剤などで作用増強の可能性)
- × 抗血小板剤、抗凝固剤等を服用されている方
- × 緑内障の方
- × 慢性呼吸器疾患のある方
- × 高齢者の方(65歳以上)
- × 未成年の方
注射により内出血しやすいので慎重な投与が必要な方
皮下出血を生じる可能性のある薬剤を服用されている方 (消炎鎮痛剤、ビタミンE等)
治療方法
- 1.ベッドに横になっていただき、目的の筋肉内に少量注射します。
- 2.皮下出血予防のため、数分間ほど注射部位を圧迫します。
治療後の注意点
- ・ 注射後24時間は注射部位を揉んだりこすったりしないでください。
- ・ 注射後3時間は横にならないでください。
- ・ 注射後2,3時間は注射部位にシワを作るように筋肉を動かしてください。
- ・ 注射当日より化粧、洗顔、入浴等は可能です。日常生活には特に制限はありません。
- ※ 過度の運動、飲酒、長湯等は避けた方が無難です。
- ※ 注射後すぐに化粧してお帰りいただけます。
- ・ 避妊してください(女性の方は、最終投与後2回の生理を経るまで、男性の方は、最終投与後3ヶ月)。
治療後の経過
- 効果発現は注射後2,3日以内です。
- 注射後2,3週間で最大効果に達します。
- 注射2週間後に効果を判定しますので必ず受診してください。
- 効果が不十分の場合は追加注射が必要な場合があります。
- 効果の持続は約3~4ヶ月です(徐々に筋肉の動きが回復してきます)。
- 注射後4ヶ月で次回注射が可能です。
※ 筋力が元に戻りきる前に次の注射をすると筋肉の萎縮が期待でき効果的です。
副作用と合併症
- △ 稀にアレルギー(ショック)反応を起こすことがあります。
- △ 全身性副作用 (頭痛、嚥下困難、角膜障害、全身倦怠感、吐き気など)
- △ 注射局所の副作用 (皮下出血、違和感、腫れなど・・・約1~2週間でおさまります)
- △ 合併症 (眼瞼下垂、眉毛下垂・挙上、複視、不自然な表情など・・・約1ヶ月で戻ります)
- △ 極めてまれに細菌感染を起こすことがあります。
- △ 上記以外の(予期せぬ)問題が生じることがあります。
問題点
- ※ まれに、ボトックスに対する抗体が産生され、2回目以降の注射で効果が出なくなってくる方がおられます。
- ※ シワの線自体は若干残ることがあります(厚紙を折って紙を広げても、折れ線は残るように)。
- ※ ヒトや動物由来の成分を使用しておりますが、厚労省は問題ないとしています。
- シワについて
- シワの治療について
- ボトックス(ボツリヌス毒素)注射